【横浜市】試験方式変更の影響:併願,倍率,難易度

はじめに

yokohamacity

横浜市役所が採用試験の方式を変更することを正式に発表しました。
具体的な変更点は以下のとおりです。

①教養試験から「人文科学」「自然科学」を削除
②専門時事論文を「論文」に変更

この変更を受けて、公務員試験業界は大変な騒ぎとなっています。
「予備校業界は終わった」「易化の流れは止まらない」「専門科目の要らない時代へ」

様々な主張がなされていますが、受験生の皆さんにとって重要なのは、
「この変更がどのような変化であり、どのような影響をもたらすのか?」
ということではないでしょうか?

ですので今回は、横浜市の試験方式変更がどのような影響をもたらすのかについて、私なりの予想を行いたいと思います。

ポイントは3つです。

(1)実質的にはそれほど大きな変更ではない

私は、実質的な意味において、この試験方式変更がそれほど大きなものであるとは考えておりません。

理由は以下の3つに集約されます。

①そもそも横浜市の教養試験はボーダーが非常に低い

横浜市の教養試験はボーダーが非常に低いことが知られています。

問題の難易度そのものも低めに設定されており、独学者であってもきちんと対策をすれば一次試験突破は容易です。
独学者でもそうなのですから、予備校生ならまず落ちることはありません。

そのため、人文科学や自然科学に力を入れていなかったとしても特段の問題が生じない試験だったのです。
予備校内ではそのような情報が共有されているため、横浜市対策として人文科学・自然科学を必死に対策する受験生は明らかに少数派でした。

ですから、人文科学や自然科学が削除されたとしても、多くの受験生が元から対策をしていない以上、実質的意味において大きな変更であるとは思えません。

②専門時事論文は合否に大きなインパクトをもっていなかった

まず、横浜市の専門時事論文は「専門記述」とは全くの別物です。

確かに、「専門」という字がついているとおり、部分的には専門科目の学術的知見が問われます。
しかし、場合によってはほとんど時事的な内容しか問われなかったり、あるいはそれらをほどよくミックスしたものだったりと、非常に傾向が読みづらい試験でした。

そのため、予備校の予想もほとんど的中しておらず、受験生にとって対策を講じること自体が極めて困難な試験だったのです。
ですが、これは受験生の中で差がつかない、あるいは差がつきづらい試験種であることをも意味します。

また、配点のうえでも後述する面接に比べてウェイトが小さく、対策をするにしても一次試験後からという受験生も少なくありませんでした。
ですから、専門時事論文のデキは合否に対して大きなインパクトをもたないものだったのです。

つまりは、元々インパクトをもたなかった試験が姿を消しただけであり、これが決定的な変更であるとは考えにくいように思われます。

③配点上最も重要なのは面接

ここまでの内容から明らかなように、教養試験、専門時事論文ともに、そもそも合否に対して大きなインパクトはもっておりませんでした。
それに対して圧倒的に大きなインパクトをもっているのが面接試験です。

「横浜は面接勝負」というのは、公務員試験業界の人間なら誰もが同意するでしょう。
この面接について配点上の変更が行われていないのならば、面接勝負という実態には何ら変更は生じていないことになります。

(2)特別区・国家一般職・教養型市役所志望者にとっては「心理的に」併願が容易に

ただし、専門時事論文の「専門時事」という文言が消えること自体は、受験生の心理に少なからぬ影響を与えることでしょう。

一般に、特別区・国家一般職・教養型市役所等を志望している人達は、
「横浜市はある種の『専門記述』対策が必要らしい」
ということで、横浜市の併願を避ける傾向にありました。

既に述べたとおり、実際にはそのような対策をせずとも筆記試験は通過できるのですが、「専門時事」という言葉の「圧」が併願を思いとどまらせていたのでしょう。
しかし今回、その文言が消えることになりました。

上記試験種を志望する受験生にとっては、それら試験種の対策をするだけで横浜市に挑めるようになるのですから、併願を積極的に考える受験生は増大することでしょう。

(3)倍率の上昇

その結果として、横浜市の倍率は上昇すると予想されます。
横浜市を第一志望とする受験生にとっては苦しい事態かもしれません。

ライバルの数が増えれば、それだけ競争が激化するのは明白だからです。
ただし、あえて申し上げるのならば、横浜市対策の中心が面接対策であること自体は今後も変わらないと思われます。

ですから、面接対策に可能な限り早めに着手するというのが、現段階での最善策だと考えられます。
以上が横浜市の試験方式変更の影響予想でした。

ぜひ今後の対策の参考にしてみてください。