論文は暗記科目?
論文添削をしていると、「論文課題(出題テーマ)」と「書かれた内容」が適切につながっていない答案がときどき見受けられます。
聞かれたことに答えていない答案や、ズレた回答をしている答案が一定の割合で存在するのです。
せっかく論理的で明瞭な文章を書いていたとしても、出題内容からズレた論述をしてしまうと試験本番では大きく減点されてしまいます。
なぜ、このような「出題内容からズレた答案」というものが発生するのでしょうか。
これまでの生徒たちを見てきて分かった原因としては、
「論文を暗記科目として捉えている」
ということです。
試験本番に備え、各テーマに対応した模範解答を暗記したり、あらかじめ提案する政策の内容を決めていたりすることが、論述のミスにつながっています。
例えば、
少子化だったら、〇〇と△△を提案しよう。
防災だったら、〇〇と△△で論じていこう。
などなど、事前に書く内容を決めてしまっているのです。
テーマは同じでも、問われていることは違う
このような勉強方法は、決して悪くはありませんが、自身の想定課題と本番での出題形式が異なった場合には、柔軟に対応できなくなるというリスクもあります。
例えば、「少子高齢化」というテーマであっても、自治体やその年度によって出題のされ方は大きく異なります。
実際の例を見ていきましょう。
などなど、
「少子高齢化」というキーワードは共通していますが、問われている内容はそれぞれ異なります。
問われている内容が異なるということは、論述する内容も異なってきます。
しかしながら、事前にしっかりと模範答案などを暗記してきている受験生ほど、持っている知識や得意とする政策内容を書いてしまうのです。
試験本番に向けて事前準備を行うことは非常に重要です。
模範答案も暗記しておけば、まったく同じテーマが出題されたときには大いに役立つでしょう。
しかしながら、「少子高齢化」だけではなく「環境問題」や「防災対策」といったテーマであっても、出題の形式や問われ方は大きく異なってきます。
重要なので繰り返すと、論文では「聞かれたことに答えること」が大切です。
覚えてきた知識や暗記してきた模範答案を出発点としてしまうと、出題意図からズレた答案になるというミスにつながりやすくなりますので、留意しておくことが重要です。
試験本番では制限時間があるため、急いで答案を書きあげようとしてしまいます。
そして、急いで書こうとするために、考えて書くよりも、覚えてきた知識で書こうとしてしまいます。
そのようなときこそ、冷静に一呼吸を置いて、論文テーマを熟読し、自身がテーマに合致している内容を書こうとしているかについて丁寧に確認することが大切になってきます。
皆さんも、次の論文作成のときには、このことを思い出してみてください。