はじめに
裁判所では、専門記述試験が課されています。
具体的には憲法が必須解答となっており、全ての受験生が答案を記述しなければなりません。
この専門記述、東京都庁Ⅰ類B(一般方式)を受験予定の人であれば、スタイルには慣れていることだと思います。
ですが、特別区が第一志望で、併願先として裁判所を受験予定である人もいるでしょう。
その場合、どう対策していいものかわからない部分があろうかと思います。
そこで今回は、裁判所の専門記述試験の特徴と、それに基づいたアドバイスをお伝えします。
ポイントは4つです。
(1)形式は「一行問題」
裁判所の憲法専記は一行問題という形式になっています。
これは直接見て頂いたほうが早いと思いますので、過去5カ年の問題をご覧ください。
【2021年(令和3年)】
法の下の平等の意味について説明した上,法的取扱いにおける区別が憲法に反するか否かを判断する基準について論ぜよ。
【2020年(令和2年)】
外国人の基本的人権について論ぜよ。
【2019年(令和1年)】
司法権の独立の意義及び趣旨を述べた上で、その憲法上の現れについて論ぜよ。
【2018年(平成30年)】
職業選択の自由の意義について説明した上、職業選択の自由に対する規制の合憲性を判定する基準について論ぜよ。
【2017年(平成29年)】
表現の自由に対する制限(検閲を除く)の合憲性を判定する基準について論ぜよ。
こういった形で、一行でシンプルな内容を問われるのが特徴です。
(2)難易度は高くない
先のポイントとも関連しますが、一行問題ということもあり、難易度自体は高くはありません。
特殊なトピックが問われることや、マイナー論点が問われることもほとんどありません。
憲法の勉強をスタンダードなレベルでこなしているなら、十分に対応可能だと思われます。
裁判所以外で憲法の専門記述が課される試験種としては、例えば国税専門官や財務専門官が挙げられますが、これら試験種では明らかに文章がより長く、複雑な内容が問われています。
近年ではその傾向が変わりつつありますが、それにしても難易度はやや高めだと言えるでしょう。
それらに比べると、裁判所の専門記述は書きやすい部類に入ると思われます。
(3)重要度も高くない
何よりも指摘しておきたいのは、裁判所の専門記述は重要な位置を占めてはいないということです。
なぜなら、全体の配点のうち1/10、つまりは10%の割合しか占めていないからです。
試験全体に及ぼす影響は小さいと言わざるを得ません。
裁判所で重要となるのは4/10、つまりは40%もの割合を占める面接試験です。
そのインパクトは専門記述の比ではありません。
ですから、仮に専門記述の出来がもうひとつだったとしても、面接対策をきちんとこなしていけば問題ないと言えます。
(4)出題の傾向と予想
ただし、第一志望なのできちんと対策しておきたいという受験生もいることでしょう。
そういった受験生向けに、出題の傾向と、それを踏まえての予想を申し上げておきます。
まず直近10カ年の過去問のテーマは下記のとおりです。
ゆるやかな傾向として、人権→統治→人権→統治…という関係性が確認できます。
これらの傾向から、アップドラフトでは2022年(令和4年)の出題は統治であると予想しています。
もしも対策のための時間が少ししかないという場合には、せめて統治だけでも論点の整理をしておいて欲しいと思います。
なお、それ以上の過去にさかのぼって対策をしておきたいという場合には、下記のコラムで過去問を公開していますので、そちらをご覧ください。
以上が、裁判所事務官(一般職)の専門記述試験についてでした。
今回のコラムが受験生の皆さんにとって参考となったなら幸いです。
面接質問集のご案内
裁判所・国税専門官・国家一般職等の面接に不安を感じていませんか?
・質問にクセがありそうで不安
・変な質問をされたらどうしよう…
その不安、アップドラフトが解消します!
受験生が実際の面接で聞かれた質問について、予備校講師時代から10数年にわたりコツコツ集めてきました。数多くの受験生を合格に導いてきたアップドラフトだからこそ提供できる、貴重な面接情報を特別公開しています。